
裏側矯正は装置が見えにくく審美性に優れた矯正方法として人気がありますが、その一方で「舌が痛い」と感じる方も少なくありません。
特に治療初期は、装置に舌が触れることで口内炎や擦り傷ができることがあります。
この記事では、裏側矯正で舌が痛む原因について詳しく解説します。
舌が痛むときの具体的な対処方法や、舌以外の痛みについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
裏側矯正は舌が痛くなりやすい?

裏側矯正は矯正装置を歯の裏側に取りつけるため、舌に装置が直接当たりやすく、痛みを訴える方が多く見られます。
特に治療初期やワイヤーの調整直後は、装置に慣れていないこともあり、痛みや違和感が強くなりがちです。
痛みが出やすい部位としては、舌の側面、先端、奥の3か所があります。
舌の側面は下の奥歯の裏側に装置が当たることで傷つきやすく、口内炎を起こすケースも少なくありません。
特に舌を低い位置に置く癖のある方や口の中が狭い方、舌が大きめの方は痛みが長引く傾向があります。
舌の先端に痛みが出るのは、前歯を舌で押す癖がある場合です。
話す時や飲み込む時など、無意識に舌先が前歯に触れることで痛みが生じやすくなります。
さらに舌の奥側では、上顎の装置や補助器具に触れることで痛みや違和感が起こることがあります。
痛みが強い場合や長引く場合は、我慢をせずに歯科医院に相談することが大切です。
裏側矯正とは

裏側矯正とは、歯の裏側(舌側)に矯正装置を取り付けて歯並びを整える方法で、『舌側矯正』や『リンガル矯正』とも呼ばれます。
従来の表側矯正と同様にブラケットとワイヤーを使って歯を動かしますが、装置が見えにくいため、見た目を重視する方に人気のある治療法です。
特に芸能人や接客業など人と接する機会が多い方、矯正をしていることを周囲に気づかれたくない方に選ばれやすい傾向があります。
ここでは裏側矯正の具体的な特徴やメリット・デメリットについて解説します。
歯の裏側に装置をつける矯正方法
裏側矯正では歯の内側に小さなブラケットを接着し、そこにワイヤーを通して歯を少しずつ理想の位置へと動かしていきます。
外から見えにくい位置に装置をつけるため、目立ちにくく、矯正していることを他人に気づかれにくいのが大きな特徴です。
使用する矯正装置は患者さんごとにオーダーメイドで作られ、歯の形や歯並びに合わせて調整します。
使用する材料や難易度の高さから、表側矯正と比べると治療費がやや高めになる傾向はありますが、審美性を重視したい方にとっては魅力的な治療方法です。
メリット・デメリット
裏側矯正の主なメリット・デメリットとして、以下が挙げられます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
裏側矯正には『目立ちにくい』『虫歯になりにくい』『エナメル質を傷つけにくい』といったメリットがあります。
特に見た目を気にする方には魅力となるでしょう。
一方で、舌への刺激による痛みや違和感、発音のしにくさなどのデメリットもあります。
また治療には高い技術が求められるため、費用が高額になりやすい点や対応できる歯科医院が限られる点にも注意が必要です。
矯正治療で優先したいポイントを考えた上で、自分に適した矯正方法を選びましょう。
裏側矯正で舌が痛い原因

裏側矯正で舌が痛む原因として、主に以下の3つが挙げられます。
- 矯正装置が舌に当たるため
- ワイヤーが舌に刺さるため
- 結紮線が舌に刺さるため
ここでは上記3つの原因についてそれぞれ解説します。
矯正装置が舌に当たるため
裏側矯正では、ブラケットやワイヤーが舌に接触することで痛みを引き起こします。
特に舌の側面や先端が装置に当たりやすく、食事や会話をするたびに擦れてしまうことで、口内炎や傷ができやすくなります。
装置の進化により、現在では角が少ない滑らかなデザインも登場していますが、それでもすべての人に違和感が出ないわけではありません。
痛みが長引く場合は、装置の位置を調整して改善できる場合もあるため、担当医に相談してみましょう。
調整をしても痛みが改善されない場合は、表側矯正に変更しなくてはいけない場合もあります。
ワイヤーが舌に刺さるため
裏側矯正では、歯の移動が進むにつれてワイヤーの一部が後方から飛び出してしまうことがあります。
この飛び出したワイヤーが舌に刺さり、鋭い痛みを伴うことがあるのです。
通常の表側矯正であれば、ワイヤーを後方で曲げて処理することが可能ですが、裏側矯正はスペースの関係で処理が難しい場合が多いです。
応急処置として矯正用の保護剤をワイヤーに貼り付けて痛みを軽減する方法がありますが、それでも改善しない場合は歯科医院にワイヤーのカットや調整をしてもらう必要があります。
自己判断でワイヤーを触るのは危険なので、必ず歯科医院で対応してもらいましょう。
結紮線が舌に刺さるため
結紮線はブラケットとワイヤーを固定するための細いワイヤーで、調整後や日常生活の中で飛び出してしまうことがあります。
例えば食事中に固いものを噛んだときや、歯磨きの際に力が加わったときなどに、結紮線がズレて舌に刺さるケースがあるのです。
刺さるとピリッとした鋭い痛みを感じることがあり、放置すると舌に傷ができたり、口内炎ができたりすることもあります。
保護剤でカバーしたり、舌の当たらないところに折り込んだりすることで対処できます。
しかし、改善しない場合や何度も繰り返すようであれば、歯科医院でしっかりと処置してもらう必要があります。
裏側矯正で舌が痛いときの対処法

裏側矯正で舌が痛いときの対処法として、以下の6つが挙げられます。
- 口内炎パッチを使用する
- 矯正用ワックスを使用する
- オーラルケアを行う
- 舌の位置を変える
- 痛み止めを服用する
- 歯科医院に相談する
ここでは上記6つの対処法についてそれぞれ解説します。
口内炎パッチを使用する
市販の口内炎パッチを使用することで、舌の傷を保護することができます。
特に会話や食事などで痛みが気になる場合に効果的な方法です。
使用時に、患部を清潔にしてからしっかりと貼り付けましょう。
矯正用ワックスを使用する
舌が装置やワイヤーに触れて痛みが出る場合は、矯正用ワックスが有効です。
これはロウのような柔らかい素材で、気になる部分に貼りつけることで舌との摩擦を減らし、痛みを和らげてくれます。
手を洗ったあとにワックスを適量ちぎって丸め、痛みの原因となっている装置部分を覆うのみとなるため、使用方法もとても簡単です。
矯正用ワックスはロウタイプとシリコンタイプがあり、後者は熱に強く外れにくいため、安心して使用できます。
ただし装置の状態によってはワックスだけでは対処しきれない場合もあるため、違和感が続くときは歯科医院で調整してもらいましょう。
オーラルケアを行う
舌の痛みを予防・軽減するためには、口内環境を清潔に保つことも大切です。
まず基本となるのが丁寧な歯磨きです。
歯と歯茎の間、装置の周囲などを意識して磨くことで、細菌の繁殖を防ぎ、炎症や口内炎のリスクを下げられます。
抗菌作用のあるマウスウォッシュを併用することで、さらに清潔な状態を保つことができます。
特にアルコールフリーのタイプは刺激が少なく、痛みがある時でも使いやすいためおすすめです。
口内の乾燥も炎症を悪化させる原因になるため、水分補給を意識しながら日々のケアを心がけましょう。
舌の位置を変える
舌を下の歯に沿って置いていたり、無意識に歯を押してしまったりする癖がある場合、装置に触れて痛みが出やすくなります。
このように舌の位置が原因で痛みが出ている場合には、舌を『スポット』と呼ばれる上顎のくぼみに置くよう意識するのが効果的です。
これは本来、舌が自然に収まる正しい位置とされています。
ただし舌小帯(舌の裏のスジ)が短い方は無理に行わず、歯科医院に確認してから実践しましょう。
痛み止めを服用する
矯正治療中の痛みがどうしても我慢できないときには、市販の鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。
舌の痛みで食事が困難になったり睡眠に支障が出たりすると、生活の質が下がるだけでなく、治療の進行にも悪影響を及ぼします。
具体的には歯の動きが遅れたり、虫歯や歯周病のリスクが高まったりする可能性があるのです。
痛み止めを使うことで痛みを和らげられますが、あくまで一時的な対処法として使い、長期的な服用は避けましょう。
痛みが1週間以上続く場合や、日ごとに強くなるようであれば、自己判断せず歯科医院に相談することが大切です。
歯科医院に相談する
ワックスや自己対処では改善しない舌の痛みがある場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
裏側矯正で起こる痛みの多くは、ワイヤーやブラケット、結紮線の飛び出し、位置ずれなどが原因です。
これらは自分では正しく処置することが難しく、むしろ誤った対応をすると、矯正治療が長引いたり口腔内をさらに傷つけてしまったりすることもあります。
歯科医院では、装置の微調整やワイヤーのカット、保護剤の追加など専門的な対応が可能です。
気になる症状がある場合は、なるべく早めに歯科医院に相談するようにしましょう。
裏側矯正で起こり得る舌以外の痛み

裏側矯正で起こり得る舌以外の痛みとして、以下の4つが挙げられます。
- 歯が動く痛み
- 歯茎の炎症
- 知覚過敏
- 虫歯・歯周病
ここでは上記4つの痛みについてそれぞれ解説します。
歯が動く痛み
矯正治療では、歯を少しずつ理想的な位置に移動させていくため、歯そのものが動く際に痛みを感じることがあります。
装置の調整後やワイヤーの交換後に出現しやすいです。
矯正装置を付けてから数日から1週間程度でおさまることが多いですが、歯を動かす過程で繰り返し感じるものでもあります。
過度に痛む場合は、痛み止めの使用や歯科医院への相談も検討しましょう。
歯茎の炎症
裏側矯正では装置が歯の裏側にあるためブラッシングが難しく、磨き残しが生じやすい傾向があります。
その結果、歯垢や歯石が蓄積し、歯茎が腫れる・出血する・赤くなるといった炎症が起こることがあります。
歯茎の炎症を防ぐためには、矯正専用の歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを活用し時間をかけて丁寧なケアを行うことが大切です。
また自宅でのケアに不安がある場合は、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けるとより安心できます。
知覚過敏
矯正治療中は、歯の表面が敏感になりやすく、冷たい水や風などに反応して歯がしみることがあります。
対策としては、知覚過敏用の歯磨き粉の使用や、刺激の少ない柔らかめの歯ブラシへの切り替えが効果的です。
軽度であれば自然に落ち着くこともありますが、症状が強い場合には我慢せず歯科医院に相談しましょう。
虫歯・歯周病
矯正中は装置が複雑に入り組んでいるため、どうしても歯磨きが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
裏側矯正では唾液による自浄作用の恩恵を受けやすいとはいえ、完璧なセルフケアは難しく、歯と装置の間に歯垢がたまりやすくなります。
虫歯は気づかないうちに進行してしまうこともあり、治療に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。
また歯周病は歯茎だけでなく、歯を支える骨にも影響するため、進行すると歯のグラつきや脱落のリスクも伴います。
これらのリスクを抑えるためには、日々の丁寧な歯磨きと定期的な歯科検診が重要です。
裏側矯正で起こる痛みは一時的なもの

裏側矯正で感じる痛みは、基本的に一時的なものです。
矯正装置を取り付けてから2〜3日目に強い痛みを感じ、その後は徐々に痛みが和らいでいくことが多いです。
ただし歯そのものではなく、舌や口の中の粘膜に関する痛みはもう少し長引くことがあります。
裏側矯正の装置は舌と接する位置にあるため、慣れるまでは違和感や擦れによる痛みを感じることがあるでしょう。
特に話す・食べるといった動作で装置に舌が当たるため、口内炎や傷ができることもありますが、こうした症状も通常は1か月ほどで軽減します。
矯正中の痛みは治療が進んでいる証ともいえますが、痛みが強すぎる、1か月以上経っても治らない、日に日に悪化しているといった場合は要注意です。
虫歯や歯周病、装置の不具合などが痛みの原因となっている可能性があるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
まとめ
裏側矯正で舌に痛みが出るのは、装置やワイヤーが舌に接触することが主な原因です。
痛みは矯正治療初期に出やすく、多くの場合は時間の経過とともに軽減していきますが、場合によっては歯科医院での調整が必要になることもあります。
裏側矯正では舌のほかにも痛みが出る場合があるため、気になる症状がある場合は、我慢せず早めに歯科医院に相談しましょう。
あおい矯正歯科では、歯の裏側に装置をつける『リンガル矯正治療』に対応しています。
普段と変わらない生活を送れるよう患者さんをサポートしながら治療を進めるため、矯正治療を検討中の方はぜひ当院までご相談ください。

略 歴
- 平成11年
大阪歯科大学卒業
同大学大学院(歯科矯正学) - 平成15年
同大学大学院卒業
同大学 非常勤講師 - 平成16年
同大学 常勤助手
- 平成19年
同大学 常勤助教
- 平成20年
山脇矯正歯科 副院長
- 平成24年
あおい矯正歯科 医院長
- 平成26年
あおい矯正歯科 理事長(医院長兼務)
所属学会・資格
- 博士(歯学)日本矯正歯科学会認定医・指導医

