
「裏側矯正は表側矯正より長くかかるのでは?」と心配される方は少なくありませんが、近年は装置や技術の進歩により、表側との差はほとんどなくなっています。
この記事では、40年以上の治療実績を持つ矯正歯科専門クリニックの視点から、裏側矯正の期間に影響を与える要因と、治療期間を短縮するための方法を詳しく解説します。
裏側矯正の治療期間はどのくらいかかる?

結論からお伝えすると、全体矯正なら1年半〜3年、部分矯正なら半年〜1年半程度が目安になります。
ただしこれはあくまで平均的な数字で、歯並びの状態や治療計画によって大きく変わるものです。
ここでは全体矯正と部分矯正、それぞれの期間についてもう少し掘り下げてみましょう。
全体矯正の場合
歯列全体にブラケットを装着して治す全体矯正の場合、裏側矯正の治療期間は2〜3年程度が一般的な目安です。
軽度の乱れであれば1年半ほどで動的治療(歯を動かす期間)が完了するケースもあれば、抜歯をともなう複雑な症例では3年近くかかることもあります。
治療期間は「動的治療期間」と「保定期間」にわかれます。
動的治療が終わったあとも、歯の後戻りを防ぐためにリテーナー(保定装置)を装着する保定期間がおよそ2年必要になるのです。
部分矯正の場合
前歯の軽いガタつきやすきっ歯など、限られた範囲を整える部分矯正では、半年〜1年半程度で治療が完了するケースが少なくありません。
動かす歯の本数が少ないぶん、全体矯正よりも短期間で終わるのが特徴です。
ただし、部分矯正には適応条件があります。
奥歯の噛み合わせに問題がないこと、移動量が小さいことなどが求められるため、まずは精密検査で適応かどうかを判断する必要があります。
表側矯正との治療期間の比較
「裏側矯正は表側より時間がかかる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
以前は確かにその傾向がありましたが、現在ではブラケットやワイヤーの改良が進み、両者の治療期間にほとんど差はなくなっています。
表側矯正の一般的な治療期間は1年半〜2年半ほど。
裏側矯正も同程度の期間で完了するケースが増えています。
差が出るとすれば、それは矯正方法そのものよりも、担当医の舌側矯正に対する経験や技術によるところが大きいといえます。
裏側矯正の治療期間を左右する6つの要因

治療期間は一人ひとり異なります。
「なぜ自分はこの期間なのか」を理解しておくと、治療への納得感がまるで違ってきます。
ここでは、期間に影響する主な6つの要因を取り上げます。
歯並びの乱れの程度
もっとも大きく影響するのが、不正咬合の種類と程度です。
前歯が少しだけ重なっている軽度の叢生なら短期間で改善が見込めますが、上下の顎のずれが大きい場合は歯の移動量が増え、治療期間もそのぶん延びます。
抜歯の有無
歯を並べるスペースが不足している場合、小臼歯などを抜歯してスペースをつくることがあります。
抜歯をするとその隙間を閉じる工程が加わるため、非抜歯のケースと比べて半年〜1年ほど長くなる傾向です。
年齢と代謝
歯は骨のリモデリング(吸収と新生の繰り返し)によって動きます。
代謝が活発な10〜20代のほうが歯の移動はスムーズで、年齢が上がるにつれて移動速度は緩やかになるのが一般的です。
とはいえ、大人の矯正が不可能というわけではなく、計画的に進めれば十分な結果が得られます。
担当医の技術と経験
裏側矯正は表側に比べて技術的な難易度が高い治療法です。
装置を歯の裏側に正確にセットし、限られた視野のなかでワイヤーを調整する技術が求められます。
日本矯正歯科学会の認定医・指導医のように専門資格を持つ医師のもとで治療を受けることが、無駄な期間延長を防ぐポイントになります。
装置の種類(セルフライゲーション等)
使用するブラケットの種類も期間に影響します。
近年注目されているセルフライゲーションブラケットは、ワイヤーとの摩擦を減らす構造のため、弱い力で効率的に歯を動かせるのが特長。
通院間隔を4週間ごとから6〜8週間ごとに延ばせるケースもあり、忙しい方にも適しています。
患者さん自身の協力度
ゴムかけ(顎間ゴム)の装着時間を守る、定期的に通院する、口腔内を清潔に保つ。
こうした日々の積み重ねが治療期間に大きく影響します。
装置の脱落やむし歯の発生は治療の中断につながり、期間が延びる原因になるため注意が必要です。
不正咬合の種類別にみる治療期間の目安

歯並びの問題にはさまざまなタイプがあり、それぞれ治療のアプローチも期間も異なります。
ここでは代表的な不正咬合ごとの目安をまとめました。
叢生(ガタガタの歯並び)
歯が重なり合って生えている叢生(そうせい)は、日本人にもっとも多い不正咬合のひとつです。
軽度であれば1年半〜2年程度、抜歯が必要な中等度〜重度のケースでは2年半〜3年ほどかかることがあります。
上顎前突(出っ歯)
上の前歯が前方に突出している状態です。
裏側矯正は舌側から前歯を引き込む力が働きやすく、出っ歯の治療に向いているといわれています。
治療期間の目安は2〜3年程度。
抜歯を行う場合は、スペースを閉じる期間がプラスされます。
開咬(前歯が噛み合わない状態)
奥歯を噛んでも前歯が上下で接触しない開咬(かいこう)は、治療の難易度が比較的高い不正咬合です。
舌の癖が原因になっていることも多く、矯正装置だけでなく舌のトレーニングを並行する場合があります。
治療期間は2年半〜3年程度を見込んでおくとよいでしょう。
過蓋咬合(深い噛み合わせ)
上の前歯が下の前歯を深く覆ってしまう過蓋咬合(かがいこうごう)も、裏側矯正で対応できる症例のひとつです。
噛み合わせの高さを調整しながら進めるため、2〜3年程度の治療期間が一般的です。
程度によってはアンカースクリューを併用して効率を上げることもあります。
裏側矯正の治療期間を短くするには

治療期間をできるだけ短くしたいと考えるのは自然なことです。
ここでは、医学的な根拠のある短縮方法を紹介します。
セルフライゲーションブラケットを選ぶ
セルフライゲーションブラケットはワイヤーとの摩擦が小さく、歯の移動効率を高める働きがあります。
従来型のブラケットと比較して調整のたびにリガチャー(結紮線(けっさつせん))を交換する手間が省け、チェアタイムの短縮にもつながります。
当院でもセルフライゲーションシステムを採用しており、通院回数が少なくなるぶん、仕事やプライベートとの両立がしやすいと感じている患者さんは少なくありません。
アンカースクリューを活用する
矯正用のアンカースクリュー(歯科矯正用アンカースクリュー)は、歯を効率的に動かすための固定源として使われる小さなネジのことです。
奥歯を後方に動かす、歯を圧下するといった難しい動きを短期間で実現できるため、治療全体の効率が上がります。
埋入はごく短時間で済み、痛みも少ない処置です。
治療が終われば除去するため、歯や骨への長期的な影響はほとんどありません。
インダイレクトボンディングで精度を上げる
ブラケットを歯に接着する工程を、模型上であらかじめ位置決めしておく方法がインダイレクトボンディングです。
装置の位置精度が高まり、初期段階から効率よく歯を動かせるのがメリット。
結果として余計な調整が減り、治療期間の短縮につながるケースがあります。
通院スケジュールと自己管理を徹底する
装置やテクニックの話に目が行きがちですが、もっとも身近にできる短縮策が「指示どおりの通院」と「日々の自己管理」です。
- ゴムかけの装着時間を守る
- 装置が外れたら早めに連絡する
- むし歯や歯周病を予防するために丁寧に歯を磨く
こうした地道な取り組みが、計画どおりのペースで治療を進める最大のカギになります。
裏側矯正に関するよくある質問

裏側矯正は表側矯正より期間が長いのですか?
以前はそのように考えられていましたが、装置やテクニックの進化により、現在ではほとんど差がなくなっています。
治療期間は矯正方法の違いよりも、症例の難易度や担当医の経験によって左右されます。
治療期間の途中で裏側から表側に変更できますか?
技術的には可能ですが、装置の付け替えに追加の時間と費用がかかります。
また、治療計画を一から立て直す必要があるため、かえってトータルの治療期間が延びるリスクがあります。
変更を考える前に、担当医とよく相談することをおすすめします。
治療期間が予定より延びることはありますか?
はい、以下のような場合に延びることがあります。
- 装置の脱落が頻繁に起きた
- ゴムかけの装着時間が不足していた
- むし歯や歯周病の治療が必要になった
- 通院の間隔が空きすぎた
計画どおりに進めるには、定期的な通院と自己管理が欠かせません。
保定期間を含めると全体でどのくらいかかりますか?
動的治療(歯を動かす期間)が2〜3年、保定期間が約2年と考えると、トータルで4〜5年が目安になります。
保定期間中は装置をつけた状態のような不便さはなく、リテーナーの装着だけで済むため、日常生活への影響はごくわずかです。
まとめ

裏側矯正の治療期間は全体矯正で2〜3年、部分矯正で半年〜1年半が一般的な目安です。
治療期間は歯並びの程度、抜歯の有無、装置の種類、そして担当医の技術によって変わります。
セルフライゲーションブラケットやアンカースクリューといった最新の技術を活用し、定期的に通院して自己管理を徹底することが、治療期間を短縮する近道です。
あおい矯正歯科は、京都・四条烏丸で40年以上にわたり矯正歯科専門の治療を行ってきた実績があります。
日本矯正歯科学会の認定医・指導医が在籍し、裏側矯正をはじめとする幅広い治療に対応しています。
セルフライゲーションシステムの採用や無金利の分割払いなど、患者さんが安心して治療を受けられる体制を整えていますので、歯並びが気になる方はお気軽にご相談ください。

略 歴
- 平成11年
大阪歯科大学卒業
同大学大学院(歯科矯正学) - 平成15年
同大学大学院卒業
同大学 非常勤講師 - 平成16年
同大学 常勤助手
- 平成19年
同大学 常勤助教
- 平成20年
山脇矯正歯科 副院長
- 平成24年
あおい矯正歯科 医院長
- 平成26年
あおい矯正歯科 理事長(医院長兼務)
所属学会・資格
- 博士(歯学)日本矯正歯科学会認定医・指導医

